裁判所による競売ではなく、不動産の任意売却、すなわち所有者の意思で不動産売買を行うことを進めやすくする法案を、議員立法で今国会に提出する方針とのことです。
抵当権第一位の債権者が同意すれば、第二位以下の担保権者が一ヶ月以内に競売の実施を求めたり、5%以上高い価格での買い取り先を見つけない限り、全ての抵当権を抹消できる仕組みに改正するようですね。
これまでは、抵当権二位以下の債権者が、なかなか任意売却に同意しないことも少なくなく、さらには抵当権を抹消するための条件として高額な配当を要求するなど、時間と手間を要していました。
法案の成立時期は不確定ですが、いずれにせよ、不動産の任意売却による債務整理を行う環境がますます整ってくると思われます。
別の視座から考察すれば、
- 住宅ローンの返済等にお困りの方が増加している
- 多くの不動産開発業者の経営状況が急激に悪化し、不動産開発用の借入金返済ができない
- 金融機関も(自らの経営状況の悪化も影響し)、素早く差押手続をせざるをえない状況が拡大している
という状況の割には、
- 不動産競売への入札者の減少傾向
- 競売の落札価格が下落傾向にある
ことから、競売では思ったような債権回収ができず、日本規模では膨大な不良債権が蓄積しつつあるということを如実に表している立法であるともいえるかもしれません。